- 作者: A.トフラー,H.トフラー,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/08
- メディア: 単行本
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トフラーの最新作。有名な「第3の波」は学生の頃に読みはじめたんだけど、ちょうど本から遠ざかっていた時期だったのもあって、途中でほったらかしになっていた。今回の「富の未来」は無事読了。分厚い本だった。
基本的にはこれも農業化、工業化に続く「第3の波」による革命についての本。「富」を軸に、時間、空間、知識、生産消費活動といった観点から膨大なデータと事実を元にこの先の世界がどうなっていくのかを論じている。「富」というのは、もちろんお金のことだけじゃない。
原題は「Revolutionary Wealth」、つまり「革命的な富」だ。いま著作権とか特許とかがいろんな問題になっているけど、それはやはり従来の「富」とぜんぜん違う性質を持っているからなのだそうだ。そういった新しい「富」が主流になった結果、いろいろなものが崩壊していく。うむ。
たとえば学校とか、会社とか、資本主義とかって、何となく当たり前の「前提」となっている感があるけど、昔はそうじゃなかったんだし、将来もわからないんだよね。実際、いろんなところでほころびを見せている。これらはみんな、産業革命による工業化(第2の波)の時代にできたもので、第3の波が押し寄せた世界ではうまく機能しないのだ。
この本は悲観的じゃないところが良い。貧困や飢餓など、世界はまだまだたくさんの問題を抱えているし、悲劇的なシナリオはいくらでも考えられる。けど、これまでたくさんの戦争や虐殺を経ながらも、昔に比べれば圧倒的に貧困や飢餓、差別なんかは減って、良い世の中になっている事実が見過ごされていると著者は指摘する。今後もいろんな知恵や技術が革命的な方法で問題を解決していく、悲観してても解決しない、と。
インターネットなんかでいろんな知識や技術がより多くの人に行き渡って、善人だけじゃなくて悪人も力を持った。でも、将来もずっと、より多くの人に健康や自由、知識をもたらす勢力が優勢であり続けて、もっと楽しい世の中を作っていけると良い。