これは読み返したくなる。さすが名著中の名著。
古代ギリシャの宴会(饗宴)で、それぞれが「愛(エロース)」について演説しあうという内容。中心となっているのは、著者プラトンの師であったソクラテスが愛とは何かを語るところ。
それぞれの演説によって話はどんどん深まっていって、エロースは永遠の美を求める原動力であり、それは生きる意味そのもの、みたいな話にまでなっていく。まさに哲学。ここでいう「美」は、肉体的・精神的・知的な美、善きものであって、いわゆる恋愛の対象よりもずっと広い意味になっている。でもそれこそが本質なんではないか、という。
難しい内容ではないが、まだまだ深く味わえるし理解できる感が満載。そしてもうちょっとマシに言語化できるようになりたい。だから読み返したくなる。
僕が読んだ岩波文庫版には訳者である久保勉氏による35ページにわたる充実した「序説」があり、作品の背景や、作中それぞれの演説の主旨とそれが作品においてどういう意味を持っているのかが詳しく書かれている。最初は「なかなか本編が始まらないなぁ」と思ってたけど、いったん読み終わってから改めて読むと、プラトンのソクラテスへの尊崇の念の深さや、それがいかに巧妙に作品に反映されているのかなどがさらによくわかって楽しい。
原文がウィキソースにあるので来世では原文で味わいたいものですな。