kanizaのブログ

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むかし書いた「よく」の話

ちょっとしたきっかけで、むかし書いた日記を読んだ。2000年ごろ、ちょうど就職して関西に出てきた頃だ。たしかに自分で書いたものだけど、いまとはけっこう雰囲気が違うなぁと思ってみた。なかなかおもしろい。

その中で、われながら「なるほど」と思ったやつをここに載せてみる。

2000/8/31に書いた内容から。

前からモヤモヤと思っていたことに、「よく見る」とか「よく考える」とかの 「よく」の漢字表記に関する話がある。

「よく」はひらがなで書かれていることが多いけど、たまに、「良く考える」 のように「良く」となっていることもある。でも、「良く考える」だと、いわゆる「よく考える」の意味であるところの「ちゃんと考える」ではなくて、「肯定 的に考える」というような意味になるような気がして、なんか違うかな、と思っていた。だから僕は、意識的に「よく考える」のようにひらがなで書いてきた。

旺文社国語辞典を調べてみると、問題の副詞「よく」の漢字表記として、「良く」「善く」「好く」「克く」「能く」の 5 つが挙げられている。使い分けについては書いていないから、「良く考える」としても、間違いではないのか もしれない。それから、「よく考える」のような用法以外の例もいろいろ載って いた。

  • 「よく歌える」
  • 「よく知らせてくれた」「よくあんなことができたものだ」
  • 「よく聞く話」
  • 「よく似ている」

うむ。「良く歌える」とするのはいいとしても、「良くあんなことができたものだ」はいかがなものかね?後者は、「精神的にうちかつ」というような意味 がある「克」という字を使うのがいいかもしれない。「よく聞く話」はどうかな? 難しいな。「よく似ている」は、「良」でいいような気がする。

あくまで、あえて漢字を使うなら、の話だけど。

「よく」のもとになっている形容詞「よい」も調べてみた。こちらの漢字に は「良い」「好い」「善い」「佳い」の 4 つが挙げられている。参考として、それぞれの意味の違いも出ていた。

  • 「良」 : 程よくととのっていてよい。
  • 「好」 : 形がよい。
  • 「善」 : 道理にかない法にそむかずよい。
  • 「佳」 : 美しく好ましい。

「佳」が「美しく好ましい」というのは、なるほどね、という感じだ。その 他の字の説明にすべてひらがなの「よい」が用いられているところが「良い」。 「佳」の説明にも「好」という字が使われてるね。

ちなみに「酔い」というのはないようだ。あれはやっぱりヨクナイ?

こうやってちょっと調べてみた感じでは、やっぱり「よく」はひらがなで書 くのが、程よくととのっていて良いのではないかと思う。

「よく」「よい」に、いろんな漢字があるのと同じで、「みる」とか「きく」 とか「わかる」とか、複数の漢字が使える言葉は多い。そういうの、できれば正しく使い分けたいと思うんだよね。

この続きとして、2000/9/11に次のように書いている。

井上靖の「孔子」を読んでいたら、孔子の詞として次のようなものが出ていた。

子曰く、ただ仁者のみ能く人を好み、能く人を悪(にく)む。

これは「仁の徳を具えた者だけが、好むべき人を好み、悪むべき人を悪むことができる」という意味なのだそうだ。「能く」はこういう風に使われるのだな。

うむ。やはり言葉はむずかしいな。

むかしの内容、他のもこっちに移したら良いかもしれないな。