kanizaのブログ

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「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」佐藤優

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

id:umedamochio さんが http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050412/p1 で絶賛していたので、僕も読んでみた。面白い本だった。著者は、鈴木宗男事件の中心人物である佐藤優・元外務省主任分析官。当時のニュースでよく見た人だ。今年の2月に東京地裁で懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の有罪判決が出て現在控訴中とのこと。

僕などは、鈴木宗男事件に関しては報道のとおり鈴木宗男氏がいろいろと良くないことをしたんだろうと思って眺めていた。でも、鈴木氏と行動をともにしていた著者によると、鈴木宗男という政治家は常に国益第一で素晴らしい成果をあげてきた人物となっている。しかもこの著者の文章からは冷静な分析力と深い洞察力、そして何よりも「人を見る目」というものが感じられて、その鈴木宗男像にものすごい説得力があるんだよね。これを読んだら、だいたいの人は鈴木宗男という人を見る目が変わるはず。ではいったいなぜ逮捕されるはめになったのか。それが「国策捜査」ってやつなのだそうだ。

逮捕される前の外務省職員として事件に関わるできごととか、拘置所での検察官とのやりとりとか、ものすごく生々しく詳細に、ただし曖昧なところははっきりとそう断って描写されている。すごい人だ。ほんと、外務省で仕事し続けてほしいと思った。「国益」のために。

マスコミ、世論、検察、官僚組織、政治権力、外交問題のあれやこれやが渦巻く中で、あれだけ世間を騒がせた事件がどのように動いていったのか、超優秀な当事者の視点なだけにこれ以上ないであろうほど克明に描かれている。それは表から見えていたのとはだいぶ違う。これから、ニュースとかの見方もちょっと変わっちゃうな。