いま読んでいる本に「○○しない前に○○」という表現がよく出てくる。テレビなんかでもたまに聞く。それを言うなら「○○する前に○○」じゃないのかな、と思っていたところ、両者の違いについての研究があった。
- 「する前に」と「しない前に」に関する認知言語学的考察: 日本言語学会 第105回大会口頭発表 要旨(福井工業高等専門学校 森 貞氏)
学会向けのためか、少し表現が難しい。
つまりこういうことだと思う。「Xする前にY」というのは「YしてからX」なわけだ。それが、話す人にとって本来は「XしてからY」のはずが実際は「YしてからX」になってしまっている時に「Xしない前にY」となる場合がある。なぜかというと、本来の「XしてからY」と実際の「YしてからX」のギャップを解消するために、それぞれの要素を否定する演算をしようとするんだけど、Yは事実として否定不可能だから「Xしない」というXの否定のみが演算の痕跡として残っている、と。
んー、なるほどねぇ。たしかに「Xしない前にYしてしまった」というような、残念な感じの文脈で見る気はするなぁ。