kanizaのブログ

コンピュータ、ソフトウェア、映画、音楽関連や家族のことなど、思いついたことを書きます。

上品で美しい国家

上品で美しい国家―日本人の伝統と美意識

上品で美しい国家―日本人の伝統と美意識

よく聴いているポッドキャストに、経済アナリストの伊藤洋一さんのものがある。伊藤さんは、マスコミの論調とは一味ちがった、僕から見てバランスの取れたコメントをしているなぁという印象を持っている。

ちょっと前まで、日銀の福井総裁の進退問題が取り沙汰されていたけど、当初、僕にはなぜ「辞めろ」というのかさっぱりわからなかった。「村上ファンドに出資して何が悪いの?」っていうね。

野党の議員もマスコミも「国民感情からして納得できない」とか言ってたけど、その「国民感情」ってやつは、マスコミ報道が煽った結果としか思えないもんな。最近になっていろいろな事実が明らかになってきて、ちょっと問題の様相が違ってきた感はあるけど、もともとは何だかよくわからない理由で、進退を問うていたように思う。

先日のポッドキャストで、伊藤さんがこの問題に関し、辞任するかどうかはともかく、福井総裁が責められるべき点を解説していて、やっと少しわかった気がした。「儲けたから悪い」って話じゃなくてね。つまり、中央銀行総裁が、就任時に資産を整理せず、しかも任期中に動かしてしまうってのは、ルールの有無に関わらず「非常識」ということなのだそうだ。それなら理解できる。重要なのは、村上ファンドは直接関係ないってこと。

さて、そういうわけでちょっと伊藤さんブームなので買ってみたこの本。「国家の品格」を思い出すようなタイトル。

ちょっと過激な内容もありつつ、長い歴史で培われた日本文化が、世界各地で支持され、受け入れられつつある話などが紹介されている。料理屋でカウンターで食べるスタイルなんかも日本独特らしく、「料理はできたてがいちばん美味しい」「料理人と客が対等」などの点からよくできたものなのだそうだ。

興味深かったのは、ホリエモンなんかの事件に関して、お金と権威が一体化してしまったことが問題だと言っていること。つまり、かつては違ったんだそうだ。士農工商では、商人はいちばんお金持ってるけど、身分としては下。逆に武士は権威があったけど貧乏、質素だったんだそうだ。なるほどね。そういうところに日本人の美意識ってやつがあるわけね。

いまは、いちおう能力がある人がお金を儲けることになっているから、もっと能力を発揮してお金を儲けましょうということになっている。だから、貧乏すなわち能力がないってことになって、貧乏は恥だとか迷惑だとか、「貧乏が許されない」世の中になってしまっているとは思う。

でも、福井総裁のようにお金を儲けたってことでマスコミからよくわからん理由で責められることもあるんだよな。お金を儲けたことを自慢してまわるのも良くないかもしれないけど、お金を儲けた人にやたらと難癖つけてしまうのもどうかと思われますな。僕も人に自慢できるくらいお金を儲けてみたいけどね。それで、毎日お寿司をたくさん食べるのだ。