いろんなところで話が出ているとおり、Mac が PowerPC から Intel のプロセッサへ移行することになった(プレスリリース)。この手の噂はずっと前から何度も出ていて、今回の噂はやたら本当っぽいなぁと思っていたら本当に本当だった。It's trueだった。
ずっと PowerPC を応援してきた僕としても、ジョブズが言うように Apple が今後の PowerPC のロードマップに期待できないのであれば妥当な選択だと思う。PowerPC G5が出た時には今後の展開に期待したけれども、けっきょくのところIBMはMac でしか使われていないプロセッサの発展のために力を注げなかったってことなんだろうな。
こういう噂が出て話題になるたびに思っていたのが、MacがIntelベースになったとしても、Windows PCでMac OS Xが動くようになるとは限らないということ。これを混同した議論がよくあった。今回の発表では、予想通り今後もMac OS XはAppleのハードウェアでしか動作しないということだ。
十数年前にApple、Motorola、IBMが協力して作ったPowerPCがパーソナルコンピュータ用プロセッサとして成功するというシナリオは、PRePとかCHRPと呼ばれたハードウェアプラットフォームを作り、そこで主要なOS(当時で言うとSolaris、Windows NT、Mac OS、AIXなど)が動作するということに基づいていたのだろう。CHRP構想が消えてしまった結果、パーソナルコンピュータでPowerPCを使っているのは Mac だけという状況が長く続いてしまった。
90年代初頭、当時の Mac が採用していたMotorola の 680x0 系プロセッサの性能が頭打ちになったのは、680x0の用途が組み込み向けにシフトしたためと記憶している。それを打破するものとして PowerPC が登場してきたのだけど、Intel が Pentium を改良するスピードには追いつけなかった。けっきょく PowerPC も組み込み分野での利用が進んでいって僕などは「また組み込みかよ!」とか思ってしまう。いや、組み込みは組み込みでいいんだけどね。
今回の発表は、イデオロギー的、歴史的には重要な出来事と思うけど、実質的には大騒ぎする必要はない話だと思う。知らない人はほとんど意識する必要がないレベルで移行が進むはずだ。すでにMac OS XとAppleのアプリケーションがIntelでも動くようになっている点は大きい。
MacかWindowsかっていう話は今後も絶えないはず。ただ、そのネタのひとつだったIntelかPowerPCかっていう話がなくなるわけかな。これまで「PowerPCとPentiumとどっちが速いんですか?」と聞かれると困ったしな。「わからん」と答えていた。そういう要素がなくなるってのはそれはそれでいいかも。