kanizaのブログ

コンピュータ、ソフトウェア、映画、音楽関連や家族のことなど、思いついたことを書きます。

クラウド化する世界

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換

Gmailとかのウェブアプリケーションがどんどん普及してきて、僕らが使っているコンピュータの主たる処理がだんだんとネットワークの向こう側に移動してきている。もうどこにそのコンピュータがあって、どこにどうデータが保存されているかもわからないけど、どこにいてもアクセスできる。つまり「コンピュータ」の存在が目の前とかサーバルームに鎮座しているものじゃなくて、雲のようにつかみどころがなく、そこかしこに広がっているということで「クラウド・コンピューティング」という言葉がよく使われるようになった。

本書は世界がそのようなクラウド化に向かっている事実と必然、そして将来実現しうる世界をジャーナリスティックに描いている。19世紀、各企業はそれぞれ複雑な動力源や発電装置を持っていたんだけど、エジソンたちによってそれが中央発電所に集約されていった。それと同様の流れが、コンピューティング資源についても起こっていて、どんどん少数のクラウド・コンピューティング提供企業に集約されている。その結果、ビジネスモデルも、社会のあり方も、僕らのものの考え方も、ガラッと変わっちゃうかもしれない。

僕は個人的にクラウド歓迎という気分だけど、いいことばっかりでもない。本書はそのへんの指摘もしっかりしていて考えさせられる。クラウドに依存することでどんどん便利になるかもしれんけど、自分たちの行動が組織や国家に把握されたり制御されたりする度合いも増えてしまう。自分が便利に使っていると思っていたものに、いつの間にかコントロールされてしまいかねない。

ここ1年くらいを見ても「クラウド化」は着実に進行、浸透しているわけで、たとえばiPhoneなんかによってもそれは加速している。僕もそれにどっぷりと浸かっているわけで。いやぁ、ほんと、5年後、10年後はどんな世界になってるのかな。少なくとも今のITシステム開発とか管理とかって悪夢が多いから、クラウド化でも何でもいいからマシになっててほしいですな。