マイケル・ジャクソン THIS IS IT

マイケル・ジャクソンの"THIS IS IT"はいろんなところで評判な様子。このあいだ、僕もファンとして映画館で観てきた。いやー、これはもう、泣けますね。

噂には聞いてたけど、映画の中のマイケルは歌も踊りもステージへのこだわりも生き生きしていて素晴らしい。こんなにナマ歌がいけるなんて。生前、マイケル本人が"THIS IS IT"ライブを発表したときは、正直、ライブは厳しいんじゃないかと思っていたり、公演直前に亡くなってしまったのも、ライブの準備がうまく進んでいなかったことのプレッシャーが絡んでいるのではないかとか思っていたりしたわけだけど、映画を観るかぎりそんなことはぜんぜんなかった様子。本気で最高のステージを実現しようとしていたし、それは十分に可能だったと思える。

映画を見ながら、いろんな思いが込み上げてきた。

1つは、こんなに稀有な才能が、この10年ほどの間まともな音楽活動ができなかったことで、この世界は何という浪費をしてしまったのか、ということ。みんな知ってのとおり、もう長いことマイケルはエンターティナーとしてではなくて、ゴシップの対象としてのみ世間の注目を集めてきた。マイケルのことはみんなが知ってるし、代表曲も聴いたことはあるけど、それにちゃんと向き合ったり評価したりする人は少なかったわけで。僕も、そういう状況は悔しいけどしょうがないかな、と思っていた。マイケルの行動に理解に苦しむ点が多いのは確かだしね。今回、その死によって再びエンターティナーとして最大限の賛辞を浴びることとなったわけだけど、もう当のマイケルはいないんだよね。もったいない。もっとちゃんと活動できていればなぁ。

もう1つは、マイケルが人生最後の日々を、エンターティナーとして充実した気持ちで過ごせたであろうことによる嬉しさというか、救いというか。"THIS IS IT"ライブは、特にアルバムが出たとかではなくて、「最後のライブ」として突然発表されたものだった。もし"THIS IS IT"ライブの計画がなくて、そのまま日々が過ぎていたら、ひょっとしてマイケルはまだ生きていたかもしれない。でも、その後マイケルを取り巻く状況が好転することがあり得たかどうかは微妙だ。"THIS IS IT"ライブが、マイケルの死と直接的な関係があるとは思わない。でももし、間接的にせよ彼の死期を早める要因があったとしても、それは、良い決断だったのではないか、と。このリハーサルを通じて「マイケル・ジャクソンと仕事をする」という幸せな経験をした人もたくさん増えたわけだしね。

いやはや、ほんと、マイケル・ジャクソンはいろんな意味で空前絶後のスーパースターだったんだよねぇ。そして、もうこの世を去ってしまったんだよねぇ。本当に本当に残念だけど、映画"THIS IS IT"はもちろんたくさんの素晴らしい音楽や映像を遺してくれたことに感謝。これからも、これまで以上にマイケルの作品を楽しみ続けたい。

マイケル・ジャクソン THIS IS IT（1枚組通常盤）