- 作者: 山田昌弘
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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内田樹さんのブログを読んで面白そうだと思っていたところで、本屋で偶然見かけたので購入。このあいだ東京と大阪を新幹線で往復した時に読んだ。最近、電車に乗っている時間が長いせいで読書がはかどる。
いま日本社会では「二極化」「リスク化」が進んでおり、そこで問題になるのが、それぞれの立場で持てる「希望」の格差なのだそうだ。それが「希望格差社会」。これは重要な指摘だと思う。
人が幸せを感じるかどうかってのは、いまある状態よりも、この先の希望にもとづくことが多い。金曜の夜が幸せなのは、明日が休みだからだ。だから、日曜日は「幸せ」な休みそのものなのに、「サザエさん」を見ると明日が月曜日であることを思い出してあんまり幸せじゃなくなる。同じように、結婚する時に幸せなのは、これから夫婦で始める生活が楽しみだからだろうし、夜フトンに入った時に幸せなのは、これからゆっくり眠れるのが楽しみだからだ。
いまの日本というのはとても恵まれた国だとは思うけれども、人の幸せににとって重要なのが「希望」だとするとどうなんかな。テレビなんかにはいろんな「夢」が映し出されているけど、それに対して現実的な希望を持つことってできるんかな。
この本では、リスク化、二極化による「希望格差社会」という観点から、少子高齢化、ニート、フリーター、教育といったよく知られている社会問題を論じている。なんだかものすごく根が深くて暗い気分にもなるんだけど、どの問題についての分析もとても納得できる。この本を読んでいると、僕のまわりにいるいろんな人の、それぞれの立場、事情が推察されてくるんだよね。街を歩いていても、「あの人はきっと...」とか想像してしまう。いままでもやもやしていたものがクリアになるという点では気持ちいい本だ。
この本を読んで、社会というのは、いろんな人の気分で動いているんだよなぁというのを改めて思った。そもそも、政治を支えている選挙もそうだし、経済を支えている株や為替もそう。だからもっと、自分とか、まわりの人とかの気分を大切にしないとだな。