僕が知識にあこがれたきっかけの1つは、高校で世界史を教わった片岡先生の話だった。
世界史の授業でゾロアスター教が登場したとき、先生はこのような話をした。
このゾロアスターは、ニーチェの「ツァラツストラかく語りき」の名前の元になっています。その「ツァラツストラかく語りき」をリヒャルド・シュトラウスが曲にしていて、その曲がスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」で使わているわけです。
当時の僕は、そのどれもせいぜい名前を聞いたことがある程度だったけれども、世界史の、しかも古い時代に登場するゾロアスター教の話から「2001年宇宙の旅」という未来(当時は1990年代)な話までにつなげる鮮かさに「すげぇ」と思ったのをよく覚えている。それをきっかけに「2001年宇宙の旅」を見てみたりニーチェを読んでみたり、スタンリー・キューブリックの作品に興味を持ったりしていった。
片岡先生に限らず、世界史の先生は「何でも知ってる感」があって、その知識量にけっこう憧れていたものだった。「世界史の教科書に出てくるような本を読もう」と思って、本屋でたまたま見かけた「モンテ・クリスト伯」を読んですっかりハマったりもした。
片岡先生、もしお会いする機会があったら感謝の意を伝えたい。